広島カープが変えてくれたこと

2016年夏、我が家は約10年ぶりに家族旅行に行った。
はっきり言って、奇跡のようなことだ。家族旅行なんて、疲れるだけで行こうとすら思わなかった。
少し前までは、家族団らんの中心になるはずのリビングの存在にプレッシャーを感じる程、自分の部屋にいる時間が長かったけれど、今は野球の試合のある日の半分くらいは、大きなテレビのあるリビングに全員が揃う。そして、たとえ最初から最後まで見た試合でも、みんなで報道ステーションの熱盛を見てから寝る。応援しているチームがハイライトで紹介されるのはとても嬉しい。youtubeで見るのとは、なんか違うのだ。

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■家族が家族らしくなったきっかけは、広島カープだった。

父は40年以上、弟は友人の影響でここ5年程カープファンである。私はインドア派のオタクなのでスポーツはするのも観るのも大大大ッッ嫌いだったが、つば九郎が見たくて行った2016年6月5日(日)オリックスVSヤクルトの交流戦で、先入観がすべて打ち砕かれた。小学生の頃散々プレイしたパワプロサクセスモードを思い出す神宮球場の風景に、ぴりぴりと体が震える程感動した。小さいと言われがちだが、私にとってほとんど初めての野球場は、とてもとても大きく見えた。

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試合は、7回表の時点で13-1。どうあがいても巻き返せないであろう状況だったが、ヤクルトは7回裏の攻撃で4点を入れ、そして9回裏には山田哲人が3ランHRを放った。一緒に観ていた恋人は、「負け試合だけど、野球として見てて面白いよね」と言っていた。なるほど、負けているにも関わらずワクワクするこの気持ちはそういうことなのかと、とても腑に落ちた。

目の前では、派手なつけまつ毛をしたギャルが黄緑色のユニフォームを着て、携帯で応援歌を確認しながら「ワッショイワッショイ」と一生懸命一人で歌っていた。ギャルと野球というギャップが新鮮で、それすらも楽しかった。
全身ヤクルトグッズなのに、横のヤクルトファンの女性と話すときだけ顔を上げて、あとは携帯を見ている男の人もいた。野球場は、想像以上にいろんな人やドラマのある場所だなと思った。

結果は14-9での敗北。負けたけど、一生懸命追い上げようとするヤクルト打線を見ていたら、胸が熱くなって、自然と選手の名前も覚えてしまった。つば九郎はもちろん、かわいい傘の応援パフォーマンスと、山田哲人のホームランが見れて、とても嬉しかった。私は全く野球に興味がなかったので、山田哲人の存在自体、この日知ったのだが。その日は二回も乱闘騒ぎが起こっていて、弟にLINEしたら「そんなことあんまりないよ」と笑われた。

野球のルールはあんまりわかっていないけれど、それでも一生の思い出になるくらい、楽しかった。私はこの日のことをきっと忘れない。
このままヤクルトファンになってもよかったけど、せっかく家族がカープファンなので、家族と一緒にカープを応援することにした。

■あっという間に決まった家族での観戦計画

帰宅後、どれほど野球観戦が楽しかったか家族に散々話して、思いついたように甲子園に試合を見に行きたいと言ったら、すぐに話が進み、父と弟と三人で見に行くことになった。父がとても喜んで、そのままネットで私の分のユニフォーム(しかもハイクオリティ)を注文してくれた。私は選手のことを全く知らないので誰のユニフォームを買うかは父と弟に任せた。二人は相談の末、背番号12、九里のユニフォームをポチっていた。

九里は昨年、今年ほど活躍していなかったので、今思えばなんでフォアボールも知らない娘の1枚目が九里なんだよという感じだが、父と弟はかなり天邪鬼なところがあり、それゆえ関西在住でありながらタイガースファンではない。そして、今本調子ではない選手や将来性のある選手を応援したいという気持ちが強いらしい。弟は「菊丸新井は好きだがユニフォームは買わない」と決めており、ユニフォームはいまだに背番号20だ。弟は彼がまた活躍することを本気で願っている。そういう訳で、私は父と弟が応援している九里のユニフォームを着ることになった。

■遂に初の家族での野球観戦。そこで目にしたものは…。

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念願の甲子園球場へ応援に行った。弟は何度もカープの応援に行っているので、弟についていくような形になった。いざ試合が始まると、父と私は、家では見たことのない弟の「ルナーーーー!!!」というエクトル・ルナへの大きな声援に完全に面食らってしまった。父はあまりに驚いて、チワワのような大きな目を普段以上にぱちくりさせて、「なんや今の、すごない?」とでも言うように、何度も意味ありげに私の顔を見た。弟は家族のそんな様子にすら気付かない。

「同じ屋根の下で暮らしているのに、家族の家の外での様子を何も知らないんだな」と、普段は口数の少ない弟の大きな叫び声を聞きながら思った。新井も誠也も活躍していたけれど、一息で威勢良く叫べる弟の「ルナーーーー!!!」が一番迫力があった。私もどんどん愉快になってきて、見様見真似で応援した。応援歌はわからないけれど、選手の名前は叫べる。一緒に楽しんでいることが、弟にも伝わればいいと思った。

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試合には勝ったし、とても楽しかったけど、それよりも父のまんまるの目が一番印象に残った。なんとなく、「行ってよかったな」と思った。甲子園球場前でユニフォームを着て三人で撮ってもらった写真を見た母は「お父さん、ずっとカープ好きやったもんね、よかったね」と何度も嬉しそうにつぶやいた。そういえば、「お父さんも一緒に行こうよ」なんてお誘いをしたのは、一体いつぶりだっただろうか。

私たちのとは違う、父の赤い縦縞のユニフォームは、写真の中で一家の大黒柱の威厳を放っていた。

■選手の活躍に、自分のことのように涙を流した

2016年クライマックスシリーズの頃、私は仕事や人間関係のストレスで体調を本格的に崩し始め、生活のすべてがギリギリの状態になる。毎日涙が出るほど苦しかったが、誰とも連絡を取りたくなくてSNSを利用しなくなった代わりに、カープまとめサイトを見ることが日課となり、それが唯一の心の支えとなった。応援している選手達の活躍に本当に心が癒されたのだ。

彼らの活躍を見るたび胸がギューッとして、嬉しくってついでに涙までポタポタと搾り取られていく。私は感受性が強い方なので、ちょっとグッとくる泣きメロの曲展開やアーティストの復活などには人一倍胸を打たれてしまうけれど、そんな機会自体、いつもは月に1回もあるかどうか。でも、野球は1試合1試合にドラマが存在しているから、胸がギューッとするタイミングが2、3日に1回はある。誰かのために一生懸命応援する気持ちがどれだけ前向きで健康的で幸せなことなのか、元気になっていくたびにひしひしと感じた。私は今でも、やりきれない気持ちのときは、カープが昨年リーグ優勝したときの黒田と新井が抱き合っている動画を見る。

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「新井と黒田が抱き合って…それをみんなが笑顔で囲んでいます」この実況と実際のシーンのなんと素晴らしいことか。ラジオで聞いていてもその姿を想像して号泣しただろう。緒方監督が泣いている黒田と新井を指さして、それを囲む選手たちが本当にうれしそうに笑っていた。そこには例えようもないような、あたたかさが溢れていた。

家族でも恋人でも友達でもない、自分以外の誰かの活躍で胸がいっぱいになる経験を、野球は教えてくれた。アイドルを好きな人の気持ちも、ちょっと分かった気がする。突然ブレイクするのではない、みんな根底には努力があり、不遇な時代を乗り越えて活躍していくのだ。私も頑張らなくてはと、思う。

■私利私欲にまみれた広島旅行での、親孝行

2017年、開幕したら、家族でマツダスタジアムに行こうと話が進み始めた。そのことを年上のカープファンに話すと「お父さんは嬉しいやろうね。だってずっと好きだったんでしょ、カープ。それを子供が好きになって、一緒に広島まで観に行けるだなんて…。ほんまの親孝行やと思うよ。」真剣にそう言って、チケットを取るのを手伝ってくれた。おかげで無事にマツダスタジアムの指定席4枚を手に入れることができた。

正直、この反応は想定外だった。私が家族で広島に行く理由の9.9割が「タダでズムスタで試合が見れるぜ!!ヤッホー」という超私利私欲にまみれた理由だったので、こんなに感慨深い言い方をされて、初めて「確かに親孝行のチャンスなのかも」と考えるようになった。

「父の運転でタダで連れてってもらう訳だから、何かしてあげようか?」と弟に相談したら「新しいユニフォームを買ってあげようよ」とナイスアイデアをいただいた。カープファンというほどでもない母には、一緒に応援できるようにかわいい応援スティックをプレゼントすることにした。

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旅行の少し前に、ちゃんとラッピングして、父が好きな福井のユニフォームをあげた。あんまり顔に出さなかったけど、結構喜んでいたんじゃないかと思う。父は人当たりはいいが、友達が少ないので、こういう時どういう反応をすればよいのかわからないのを、家族はよく知っている。

そして広島旅行当日。

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しかしまあ、マツダスタジアムに行って痛感した。家族旅行はボランティア精神がないと成り立たない!!!元々たいして仲の良い家族ではなかったことを一気に思い出す羽目になり、愕然とした。

遠慮なくすぐに文句言う母(弁当にも文句つけられそうだったから、買った弁当の中で一番美味しそうな丸佳浩弁当をあげた)、要領が悪くチンタラしているせいで試合に間に合いそうにない父…。弟と二人でコンコースを歩きながら、大きなため息がでた。「家族旅行はマジで疲れる。タダで試合を見れる分、我慢が必要な点が多すぎるよな。」と愚痴ったら、弟が大きく縦に首を振った。「わかる。ありがたいけど、まじでイライラするよな…」と。

こういうとき、弟がいてよかったなと心底思う。弟と家族の話をする度に、運命共同体というか、ああこの世に一人しかいないきょうだいなんだなあと思う。父と母のもと、その家族の渦の中で育った子供は、その空気の一つ一つがわかるのは、この世に私と弟しかいないのだ。

それでも、弟はマツダスタジアムの誰もが楽しめる自由な設計にキャーキャーと感動している母に声をかけ、試合中にわざわざコンコースを案内していた。父にも母にも文句を言いたい場面はたくさんあったが、私も弟もぐっと堪えた。二人にも楽しんでほしかったのだ。

対戦相手のヤクルト打線はいまいち振るわず、勝利したとはいえ試合としては特別面白いものでもなかった。けれど、マツダスタジアムにいるだけで夢が叶ったような気持ちになれたし、「試合でない部分にイラッとする後味」は私たち姉弟に妙な満足感と結束力を生んだ。

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弟とは、その日の夜、酒を片手にホテル近くの広島の街を散歩して歩いた。弟とそんなことをするのも、初めてのことだった。
私たちにとっては親孝行、父母にとっては、子供を喜ばせるための旅行という目的が果たせただろうと思う。マツダスタジアムの鯉の壁面画の前で、母にもユニフォームを着せて真っ赤な四人の家族写真を撮った。

翌日は原爆資料館平和公園を観光した。正直この一泊二日はかなりクタクタになったが、いい思い出になった。家族でここに来た意味は、確実にあったと思う。

■遂にカープ2連覇、胴上げの瞬間に立ち会う

M2になったあたりから一家にはソワソワする空気があったが、私が個人的に9/18甲子園のチケットを取っていたので、「まあマツダで決まるだろうけど、もし負けた時胴上げ見れるかな…」と余裕を持って応援していた。
が、本当にマツダで優勝が決まらないという展開に…。

んなアホな!これはもう甲子園で決めるっきゃないっしょ!!!

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という訳で、家族を置いて友人と意気込んで甲子園に行った訳だが、本当にリーグ優勝の瞬間に立ち会えてしまった!!!!

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ファン歴2年にも満たない小童がこんな貴重な体験をできて良いのか、申し訳ないなという気持ちもありながら、とてもとても、嬉しかった。緒方監督のインタビューは、選手への愛に溢れていて、涙が出た。同時に、今シーズン一生懸命応援してよかったなあとか、家族の形がどんどん変わっていったときのことが胸に頭に浮かんで、たまらなくなった。

試合中印象的だったのが、近くにいた熱狂的なカープファンのおじさん(かなり頑固そう)が、安部にくらわされた死球にブチ切れてかなりヒートアップしていたとき、周りの知らないお兄さんたちに「お父さん、みんな怒っとるけえのう!だから落ち着いて!」と笑顔でなだめられていて、怒り狂っていたおじさんが、困ったように笑顔を見せながらヒートダウンしていたこと。現地観戦ならではの、とても良い光景だなと思った。
阪神が負けているとカンカンに怒り機嫌を損ねていた大の虎党の生前の祖父を思い出しながら、おじさんが可愛らしく見えた。

そして優勝が決まった後、さっきの頑固なおじさんを見ると、膝に手をついて泣いていた。おじさんのユニフォームは、よく見ると裾の部分がかなりほつれている。何度も何度もこのユニフォームを着て、応援してきたんだろうなと思うと、胸が熱くなった。おじさん、よかったね。今日、ここで胴上げが見れて。

球場を出ていろんな人とハイタッチをして、そのまま梅田で祝賀会をした。いつもはそんなことしないけど、今日くらい、ユニフォームを着て街を歩いてもいいだろうと思ったし、どうしても、今日はユニフォームを脱ぎたくなかった。魔法がとけてしまう気がして。

実際に、その日の夜は、魔法がかかったのかと思うくらい、ものすごい非日常が待っていた。

梅田ではいろんな人に声をかけられた。カープファンのおじいさんが小走りで寄ってきて「今日勝ったの!?嬉しいねえ!」と試合結果を満面の笑みで聞きにきてくれた。阪神ファンのお兄ちゃんたちも「おめでとうございます!」と声をかけてくれて、「CSでまた!」と挨拶した。街中ですれ違う赤ユニフォームの人たちとは、すれ違いざまに毎回ハイタッチした。

一番嬉しかったのが、二軒目でたまたま入った焼き肉屋で、頼んでもいない特上カルビが運ばれてきて目を丸くしていると「おめでとうございます!サービスです!」と店長が笑顔で祝ってくれたこと。店長は巨人ファンらしいが「いいことがあったら祝うべきでしょう!」とニコニコしていて、大阪の街は本当にあたたかいなと、少し目の前が滲んで見えた。その店で一番高価な特上カルビは、とても美味しかった。

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夢みたいな夜だった。本当に。
優勝の瞬間ももちろん嬉しかった。でも、それ以上に、その夜の優勝を実感する出来事のすべてが本当に印象的で、今まで感じたことのない気持ちにさせてくれた。

赤いユニフォームの人たちが、無言で歩いているだけでマリオのスター状態になっている…といえば近いかもしれない。でも、ここは阪神タイガースの街だ。私たちを見て悔しい気持ちになった人も絶対にいるだろう。そういうよそ者の自覚もあるからこそ、一緒に喜んだり声をかけてくれるこの街の雰囲気に、ありがたさとあたたかさを感じた。

そんなことを考えながらウルウルしていると「まあ、ここは大きな街だからね」と言われた。本当にそれだけが理由だろうか。大阪の持つ特別陽気な優しさだと、私は思う。

■野球が変えてくれたこ

野球が好きになってから、確実に私を取り巻く世界は変わった。

・家族が仲良くなった
・友達が増えた
・以前より少し素直になった

主にこの三つの変化が大きい。

特にカープ女子という言葉はとてもありがたかった。居酒屋であろうが面接であろうが、あまりにブームになりすぎて、どこに行っても「あのカープ女子」と覚えられる。

もちろん「はは、カープ女子(笑)どうせ菊池が好きなんでしょ」と鼻で笑われることもある。タイミングもちょうど流行語になってからだし、ほとんど今の選手しか知らないにわかだ。野球の知識やルールもいまだに完璧ではない。(それでもキムショーの件など過去のカープに関する事件やコーチまで積極的に覚えているので、随分熱心な方だと思う。ここに関しては根っからのオタクパワーが強い)

でも鼻で笑われる存在なら、わからないことも「初心者だから教えて」と言えるし、それで嫌な顔をされたことはない。相手はおっちゃんなことが多いので、むしろ喜ばれる。野球のルールもいまだに完璧ではないけれど、おかげで何に関しても、前よりかは素直に「教えて」と言えるようになったと思う。

そして、カープファンになってから、友達が増えた。野球の話ができるだけで、友達作りの手段が一つ増えるなんて、思ってもいなかった。すごい!!こんなコミュニケーションツールになるなんて、本当にびっくりした。

初対面でも野球の話は男ならだいたい誰にでも通じる。よって、カープが優勝した瞬間は、この一年で増えた男友達(おっちゃん含む)数人から「モテキの一話かよ」とツッコミたくなるくらい一斉にLINEがきて笑ってしまった。

カープ以外にも、野球そのものが好きなので、いろんな選手を覚えたい。だから他球団ファンの話を聞くのは楽しいし、球宴WBCも好きだ。今年の球宴の日は「ノー残業デー」にして、家族が一斉に家に帰った。どこぞの昭和の家だよ、と突っ込みたくなるが、西友でたくさんおつまみを買って一目散に帰ってきた。

ここまでやっといてなんだが、正直球宴ってそんなに面白くないなと思ったけど、選手が普段見せない表情をしていて、なんかワクワクして楽しかった。ベンチで表情豊かな丸がかわいかった。

ということで、やっぱり一番大きな変化は家族だなあ。

たまに弟に野球のルールや用語について聞くと「そんなことも知らないのか」と呆れ顔をされるが、「仕方ないな」と言って、嬉しそうに図を描いて教えてくれる。そういえば、弟は最近私に「いい音楽教えて」と聞いてくるようになった。もしかしたら、こういうコミュニケーションが影響しているのかもしれない。

父はネット音痴なはずなのに、新聞のスポーツ欄を見まくっているせいで、家族の誰よりもカープの最新情報に詳しい。父に対しては、何かにつけて「勘弁してくれ」と思うこともしょっちゅうだが、そういうところは憎めない。趣味が少なく、友達もいない父の休みの過ごし方が野球中継に変わったのも良い変化だと思う。去年まで私は「話すこととかないし」くらいの態度をとっていたのに、驚くほど家族間の会話は増えた。CS放送への入会はおつりがでるほどの価値があった。

母は私たちほど興味がない上、カープが先制点を取られると「今日もあかんやん、負けるわ」と鬱陶しい発言が目立つが(だいたい逆転するのでそれ見たことかと思う)、CS放送への入会にも積極的で、グッズを見かければ買ってきてくれる。母は、父がずっと好きだったものに娘と息子が集い、仲良くしているのがきっと嬉しいのだと思う。安部ちゃんのことはなぜか「安部さんって人」と毎回呼ぶのでウケる。

なんだか、それぞれが外へ外へ向かっていた家族が、キュッとスリムになった感じがする。コップの中、表面張力で保つ水のように、内へ内へ。私も弟も、楽しいことがすべて家族の外にあったのだ。それはどの家庭でもそうだと思う。でも、今は家にも楽しいことがある。

「今日はこれから家にいないの?14時から試合観ようよ」
そんな風に、部屋のドアをノックされる。

家族仲が今までとは比べ物にならないほど、随分良くなった。

日本シリーズがもし決まれば、家族で広島まで観に行こうという話になっている。そうなればいい。CSはハラハラドキドキだが、どうか進出できますように…。

■最後に

長く長くなってしまったけれど、どうしても野球漬けの1年半のことを書き残しておきたかった。それこそ、「カープ女子」という流行り言葉に、一言では決して表せない、胸が詰まるようないっぱいいっぱいの私の気持ちがかき消されてしまうのが、嫌だった。

私はカープというよりも、野球そのものに、心から感謝している。それも、頭が上がらないくらい。野球がどれだけ自分自身や周りの環境を良い方に変えてくれただろうかと思うと、本当にきりがない。

今回は家族仲に主にスポットを当てているが、去年、体を壊すほど精神的に参っていたとき、選手の活躍が心から自分を支えてくれたあのときから、野球の存在は一層特別になった。毎日苦しくて泣いてばっかりでも、悲しい涙とは別の、熱を持った涙も流すことができたのだ。それがどんなに自分にとって救いだったか、忘れることが私にはどうしてもできない。野球は、一筋の光だった。

野球が面白いから、毎日がより楽しい。

音楽も漫画も大好きだけれど、今一番楽しいのは、野球。来年は働く環境が変えられたらなあと思うから、今年は休みの取りやすい会社にいる内にと、一生懸命試合を観に行った。おかげでとっても楽しかった。

CSも日本シリーズも楽しみだけれど、「やっと来た!」と思っていた野球の季節の終わりが近づくのがとても寂しい。だから、本格的に寒くなってしまう前に、次はアメフトを観てみたい。大嫌いだったはずのスポーツ観戦はとても楽しい、好奇心は尽きない。

つば九郎が見たくて行ったはずのヤクルト戦の着地点がこんなところだったなんて、想像もつかなかった。
人付き合いから何まで、とてもいい形に変えてくれた野球に感謝しながら、残りのシーズンをめいっぱい楽しもうと思う。絶対勝つぞ!カープ

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日記 (9/9)

以前ブログに書いたお姉さんと、久しぶりに一緒に飲みに行ってきた。

 

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古着っぽいオレンジのスカートにマーチン履いてて、やっぱりかっこよかった。嬉しくて超酔っぱらうことを予想して、久々にウコンを飲んでから居酒屋へ。スーベニアの話をしていたら、お姉さんは黙ってちょっと泣いていたけれど、私は気付かないふりをして喋り続けた。

お姉さんの話には、必ず女将さんの話がでてくるのだが、私はご家族のほぼ全員と顔見知りなので、大きいエピソードはだいたい知っている。お姉さんのお母さんにあたる女将さんは、業界ではちょっと名の知れた人だったので、洋楽のビックアーティストが来日するたびに招待され、ライブのためのおしゃれな服を買いに行っていたのだそうだ。女将さんの過ごした80年代はなんていい時代だったんだろうと思う。「それ以降の音楽はなんとなくで聴いてるだけだよ」とお姉さんは言っていたけれど、この前お店に行ったとき、60代の女将さんが、最近のおすすめにnujabesを挙げていたし、そういうところがやっぱりかっこいいなと思う。錦織圭選曲のコンピ、出てたからね。そういえば私も、今年のはじめの方に行った焼き肉屋で流れていたのをきっかけに、何度も聴いたな。

 

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二軒目は、食べログにも載ってないようなひっそりしたバーに連れて行ってもらった。店の玄関にはブルーハーツのポスターが貼ってあり、中にもブルーハーツのレコードが飾ってあった。お姉さんが一生懸命ヒロトマーシーの話をしているのを聞きながら、30代後半から40代の知り合いはみんな結局ベロベロに酔うとブルーハーツの話に戻ってくるんだなあと思って、ちょっと面白かった。京都の私の大好きなライブハウスでは、ここぞというタイミングでよく千年メダルが鳴っている。て、ハイロウズだけど。

ちょうど店に入ったとき、the bandのレコードがかかっていた。私はいつもthe bandを聴くと、小学生の頃大大大好きだった19の話をしてしまう。
私はケイゴ派で(マイクを持って動かない方)、今でも自分が一生懸命音楽を聴くきっかけになった大事な大事なアーティストなのだが、ケイゴの曲にcoronaという曲がある。

 

up to you

up to you

 

 

the bandの超名曲、the weightの印象的なフレーズを要所要所に使った圧倒的なセンス。馬鹿野郎、青春フォークデュオだなんて言わせねーぞ!!
そういやこれも、お姉さんのレコード店でかかっていたweezerのthe weightのカバーで高校生のときに「ちょ、ちょっとこれなんて曲ですか!?」と聞いて知った経緯があった。

やたらとバイクの曲を作る、ヤンキー、パンクなけんじに比べて、ケイゴは暗い曲が多く、お互いのソロを1枚にドッキングしましたと言わんばかりの3rdアルバムのケイゴの曲は、サイケな曲や黒人っぽい曲が多くて、つまりあまりにキャッチーではなさすぎて、小学生の頃の私にはあんまり良さがわからなかった。そのため11歳の私はけんじ派だったが、大きくなっていろんな音楽を聴くようになってからケイゴ派になった。

 

Porky Pie(通常)

Porky Pie(通常)

 

 

ソロになってから出た1stアルバム「Porky Pie」は、はっぴいえんど鈴木茂、Dr.Strange Loveの長田進、ケビン・モロニーらがプロデューサーとして関わっているんだから、音楽好きも期待を持って聴くことのできる一枚。実際超名盤。まさかシューゲイザーみたいな音にケイゴの歌声が乗る日がくるなんて。私もこんなバンドしたい…。「tururu」「ドライブカー」「cookie」とか、何度も聴いた。

これはソロ一曲目。飛び上がるように嬉しかった小6のときのことを思い出す。私はやっぱり、熱にあてられたようなあたたかい音が好きだ。PVに瑛太がでてる。

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話は19に戻りまして。もちろん青春フォークデュオと呼ばれていた326がいた頃の曲も大好きだけれど、それ以降もとても良い。特にちょっと耳が肥えてから聴くケイゴの曲は本気で感動してしまうので、騙されたと思って聴いてほしい。楽器を弾くようになってから、19時代のケイゴが緑のジャズマスター使ってたのにも気付いて胸が躍った。
19の曲だったら、「硬まれ、コンクリート」「キネマ」とかむちゃくちゃ好きだなー。

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これの5:50からの硬まれ、コンクリートが超いいんだ!!大好き、ずっとずっと。

あとはB面の曲ね。良き日々思い出よとかね。私は19の弾き語りスコアでコードを覚えたから、好きなコードはだいたいそんな感じ。

 

自分がカープファンになってから、またケイゴが少し近くなったなと感じている日々。会社の同じ部屋に音楽好きの男の人がいて、私がたまたま19の話してたら「あの、僕も大好きだったんですけど…好きすぎて広島大に進学して黒瀬に住んでました」と言われて猛烈に感動した。

なんかわかんないけど、20歳超えてからこういう同い年の昔の19ファンに稀に出会う。さっきまであんたポストパンクがどうこうとか話してたじゃん…振り幅…と思うけど、私もか。自分のルーツなんだよな。

 

と、話が逸れてしまったが、この日は嬉しくて、私ばっかり喋ってしまったかなと、少し反省した。

バーの果物のカクテルって居酒屋とは別世界の飲み物なんだね。イチジクのカクテルが高くて驚いたけど、納得した。二軒目の店は誰にも教えないでおく。

日記

 

ただぼやくだけ。文章を書きたいので、最近あったことを少し。

 

■8/23 柴田聡子~追加公演は遅れてやってくる~@磔磔

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本日はバンドセット。同じツアーを二度見に行くなんてことは、どんなに好きなバンドでもめったにないので、今回は京都アバンギルドに続いて二度も足を運ぶくらい、よっぽど愛の休日が良かったんです。私の場合、二度見てしまうと一回一回の思い出が薄れちゃったり、ライブの感動よりもセットリストでライブの価値を比べてソワソワしてしまうことがあって、なんだかライブを観ながら焦ってしまいがちだから。

という訳で、もちろんとっても良いライブだったんだけど、やっぱり今回も少し比べる癖がでてしまっていた。うーん、先日あった柴田聡子弾き語りワンマン@京都アバンギルドが抜群すぎた。

もちろんバンドセットだから、音がバウムクーヘンを作るみたいに、ぐるぐるぐるぐるどんどんどんどん厚くなって、ものすごい化学反応を起こしている曲もあって、思わず興奮した。吉田さんちのワンコとか!今回のライブ盤出してほしいくらい!!でも、「弾き語りの方がいいなあ」って曲も結構あって、私はそういうことを考えすぎていた。

結局バンドセットの何が物足りなかったというと、彼女の声がどうしても他の音に埋もれてしまうことだった。本当に、それに尽きる。バンドセットのアレンジ自体はとても良いのだけれど、彼女は決して「歌が上手い」というよりは「味のある歌」「忘れられない歌声」という枠の歌手なので、弾き語りの方がまっすぐ心に刺さって気持ちがいい。実際、弾き語りのライブに行くと私はいつも胸が熱くなってホロリと泣いてしまう。彼女の歌は打ちづらい変化球のような、なんだかねっとりした曲もあるけれど、ライブで聴くと、「ズバァァァァン」と音を立ててキャッチャーミットに収まりながらもぎゅるぎゅるまわる剛速球のストレートの嵐だからびっくりする。

柴田聡子がライブで大きな口を開けて一生懸命歌うのが好きだ。「嘘がないな」と思う。

今回も柿ピー犬のキーホルダーを買うのをよしてしまった。次こそ買う!

 

ボードゲーム

しかしまあ、よくボドゲカフェ行きますなあ。
スマホアプリのゲームが主流となる中、アナログのゲームも注目されている」なんて記事をみつけたけど、一緒にするのおかしくないか!
地元でおしゃれなボードゲームカフェをみつけたので、友達とふらっと行けるようになったのが嬉しい。

最近よく遊ぶのがこれ。穴掘りモグラ。

 

穴掘りモグラ

穴掘りモグラ

 

 四人でそれぞれのモグラを、何層もあるボードの穴の空いた部分に落として、一番下の層のシャベルをゲットした人が勝ち、というゲーム。
モグラは、引いたカードの数分だけ歩を進めることができる。

単純なんだけど、なかなか終わらなくて、案外30分以上かかる。モグラも可愛いし、ルールは簡単だし、造形も美しいし、私のような初心者にもいいかんじ。ボドゲいっぱい覚えたい!いろんなのしたい!
なんだか本当に好奇心の尽きない遊びを覚えてしまった気持ちでとても嬉しい。初期遊戯王を読み返したい。気持ちは遊戯!

 

■転職活動

こうやって本格的に始めるまで、たぶん一年のうちに2回くらい転職活動を始めたり辞めたりしている。「ゆっくりしなよ」と言われながらも結局はこの性格で、足を止めていられず隙を見つけては走り出していた。でも、あの体調では実際面接に行くことすら精一杯で(そりゃそうだ、でも当時の自分はちゃんとできるって思っていた、ほんとじっとしてらんない性分だなあ)とても苦しかった。

とはいえほとんどが最終面接まで進み(すべて辞退したけど)、経験職に関しては、どうにか来てくれないかと人事の方が粘ってくださったり、自分のポテンシャルを信用できる結果になったので、本当にやって損はなかった。

今年の私の口癖の一つは、「自分の価値を決して見誤らないこと」だ。

ちょこちょこ内定も出てる。でも、どこか妥協しないと進められない現状において、「コレ!!」ってのがなくて、とりあえず消去法のためにも、ビュンビュン走り回っている。けれど、1週間に4回も面接入れたらさすがにキツかった。在職中なのを考慮して会社帰りに入れてくれるのは心からありがたいんだけどなー。ストレスで京都タワーの地下を飲み歩いているので、経済的にもよろしくない。

それでも今は走る勢いを止めたくない。転職活動をしたことのある人ならわかると思うが、転職活動には相当な精神力が必要だ。めちゃくちゃしんどい。少しでも面接の期間が空くと、感覚が鈍ってしまうので、それなら詰め込んだ方が良いし、気がゆるんだらもう一生就活やりたくなくなるから、走っていたい。

…けれど、それでもやっぱり就活は辛い!!本当に心が削られる!!幸い私は選考自体は進むので、決まらないストレスはないのだが、睡眠時間が削られてしたいことができないのが、辛い!あと、面接を受けて会社を実際に見ると、良い点と悪い点が見えてきて、結局この条件どーなのと、現実を見なければならなくなるのも辛い!

毎日、不幸値が急に高まって、泥沼から手が伸びてくるどうしようもない時間がある。不健康なときは「私は私のペースで」って思えていたのに、元気になったら、急に他人と自分を比べて焦ってしまう。人間って調子のいい生き物だな〜。

一日のふとした時、目の前が急に暗くなる。私の人生本当にこのままでいいのか、もっと先に他にすることがあるんじゃないのか、なんでこんな必死にやらなきゃいけないんだろう、このタイミングで、とか。

私は基本的にとても運が良いと思っているのだが、最近は「もしかして私はすごく運が悪いんじゃないか」と思ってしまうときもある。悲しくてなかなか眠れない日も少なくない。

…なーんて!ないものねだりだな!
仕方ないのだけれど、就活は本当に孤独だ。どんなに精神力を削られても、自由な時間を奪われても、褒めてくれる人は自分以外にいない。ビューネくんのCMを見ていると泣きそうになる。高橋一生のドコモ25周年の動画を見て癒される。黒木華がうらやましい。結局人間は一人だと思う日々だ。

最近はそういう気持ちを口に出さず、毎日心の中で「ウッホホウッホホ」とゴリラの鳴き声に変換することによってなんとか保っている。本当は辛いウホ。

アナウンサーの宇垣美里が辛いときは「わたしはマイメロちゃんだからわかりませーん、それよりイチゴたべたーい☆」って思うと大抵のことはどうでもよくなると言っていた。わたしもやってみたが、あまり効果はなく、それよりもゴリラに徹する方が私には合っていた。例えば、「なんで疲れてるのに今から家に帰って履歴書書かなきゃなんないんだよありえねー!」は、「ウホーウッホホウホウホウホッホホ、ウホホホー!」である。
悲しいときは、一度言語を失ってみるとバカバカしくなって非常にスッキリする。ブログでこんなこと言ってしまうくらい今の私はマジで参っている。だ、誰か助けてくれ〜泣

2017年にカタをつけておきたいことが私にはたくさんあるのだ。今の頑張りで、自分の人生がもっと良くなりますように。きっと決まったら、絶対絶対、いろんな歯車が噛み合うようになる。

はやくJUDY AND MARYを聴かなくても済む毎日になればいいと思う。奮い立たせるために、辛いのは私だけじゃないと思うために、まだ私にはジュディマリがないと、毎日が難しい。くそ〜、まだまだ!これからだ!

つらい…。

 

◾️9/5 カープ安部逆転サヨナラ2ラン

9回表に福留に打たれたときは絶望してせっせと翌日の弁当作りに励み始めたけれど、最後まで祈り続けて本当に良かった!!!しかも安部ってのが、また。あと、前半活躍してくれた松山から野間に代わってなかったら取れなかった点も確実にあって、俊足の野間の活躍も嬉しかった。

辛い時は応援しているチームが頑張っていると心からホッとする。マジック再点灯、がんばれ!

 

◾️キックザカンクルー新譜

 

KICK! (初回限定盤)

KICK! (初回限定盤)

 

もうなんも言えねー!!千%、最高!!!これについて何か詳しく書けたらまた書きます。14年ぶりに復活して前よりかっこいいだなんて、エモすぎる!!昼休みお弁当を食べながら震えてしまった。

しばらく千%だけを聴き続ける毎日。イントロから、おいおいアバランチーズかよ!というツッコミで始まります。ほんっとかっこいい。久々の一曲、歌詞も全部がキマってる!

経て、からの、ここ!

 

あーどんどん語彙が薄くなってきた。会社についたので、とりあえずここまで。

7日間の夏休みのきろく

本当によく遊んだ夏休みだった!せっかくなのでまとめておく。

1日目
怖い絵展へ。

www.kowaie.com

とても混んでいると聞いていたので、午前中から。
ボリュームがめちゃくちゃあって驚いた。全部見るのに2時間近くかかった。昔大流行したダ・ヴィンチ・コードという推理小説があるが、高校生のとき大ハマりして以来、西洋絵画に描かれたメッセージとか謎を読み解くような展示が好きでつい行きがち。ルーブル美術館展は、美術展の人生ベストに入るくらい楽しかったなー。そういう経緯があって怖い絵展にも行った訳だけど、結局その時代に即した怖さがいまいち自分にはよくわからず、そんなに怖くなかったから少し期待外れだったかも。とはいえメインの「レディ・ジェーン・ グレイの処刑」はとても大きな絵で迫力があり、一見の価値ありといった感じだった。
ユリシーズとセイレーン」もとても良かったなー。美女セイレーン、海に浸かってる間は人魚なのに、あがると下半身が海藻に包まれるって、どんなエロい設定なんだ…。
ついでに横尾忠則美術館にも寄るつもりだったけど、怖い絵展のあまりのボリュームにそんな体力も残っておらず、せっかくなので元町で餃子を食べて帰った。
淡水軒とひょうたん、最後に元町ケーキでざくろ食べて、トリウオで飲んで終了。

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以前行ってこんなに美味しい居酒屋があるのかと感動して忘れられなかったトリウオにまた行けて嬉しい。ここの鶏肉は、やわらかくてフワフワしていて、鶏肉嫌いの私でも食べれるほど。少し高いけど、またいつか機会があれば行きたいな。

しっかし本当に神戸三宮の楽しみ方はさっっっぱりわからない。行くたびに思う。モザイクは昔から行くたび後悔するし…。今回も餃子巡りが楽しみ方の一つだと思って行ったけれど、それ以降の時間のつぶし方がわからず難儀した。(結果、ケーキ屋で1時間涼んだ)
私の住んでいるところからは相当遠いのでよっぽどのことがない限り行かないが、大阪よりうんと都会に見える(というか新宿っぽい)のに、なんでもありすぎて、何をどこでどう楽しめばいいのかわからない。
って、ただ私が街を知ってるかどうかなんだけどね。よく知っている京都はいつ行っても楽しいし。神戸の楽しみ方、いつか誰かレクチャーしてほしい!ほんと、おいしいものがとびきりある街だもんな~。

2日目
滋賀の音楽フェス、寝待月のショーへ。参加は1日目の方。いつか行ってみたかったから、行けて嬉しい!ラインナップもまた絶妙で、普段からクラブで踊っている人達なんかはなかなかそそられる。

nemachizukinoshow.com

会場に入るまでにこの難関があったのは困った。

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川を渡らないと進めないので、スニーカー脱いで行く必要あり。こんなんだったらサンダルで来たのにー!翌年からはHPで告知とかしといてほしい泣
次行かれる方はお気をつけて。

フェス自体はTHE 夏の思い出なロケーション!とっても楽しかった!人もそんなにいないし(特に午前中はだいぶ少なかった)、ステージ間の距離は音が混じらない程度に近いし、大自然だし、フジロック帰りには優しすぎる環境!フジで観れなかったMONO NO AWAREが観れて嬉しい!ライブめっちゃよかった!

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特筆すべきはフード!!超満足!!

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出店は少ないながらどの店もめっちゃくちゃおいしいし、地元にこんなおいしい店があったなんてという宣伝効果も果たしており…。あと安い!ピザとか500円だったし、他のフェスならあと200円くらいしてもおかしくないな~という値段設定がだいたいのお店でされていたのでお得感あり!

のどかで琵琶湖以外のアイデンティティが少ない故、関西の中でも忘れられがちな県民同士が集まるとまあまあ結束力が高い。そういう県民性をうまいことくすぐるようなグッズも売っていてよかった。まじでフェスのテンションだったら買いかねない…。これはラルフローレン意識なんだってさ。

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リカックス可愛かったし、大沢伸一もラビリンスやってくれたし、フジに続いてこの夏二度もラビリンスが聴けるなんて贅沢!

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楽しかったので、来年もあれば行きたいな。

かなり近場のフェス故に準備がぬるかったんだけど、後悔した点としては、椅子持ってけばよかった!ヘリノックス持ってきてる人多かった。あと、靴はトレッキングシューズの人も結構いた。スニーカーでも全然いけるけど、雨も降りやすい場所なので、トレッキングシューズかサンダルがより◎だったかも。
さすがに会場内のミネラルウォーター400円は高すぎるし、熱中症対策に絶対水は持って行った方がいい感じ。朝は雨降ってたのでゴア着てました。

3日目
夜に会社の元同僚と京都、河原町へ。

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最近涼しいので、鴨川飲みが進む。この時期はゼロ次会もしくは二次会がだいたい鴨川になるので、コスパ最高!私は学生時代からこの街のそばにいれて心から幸せだと思う。鴨川の等間隔の法則は、男女で座ればもちろんのことだが、女同士で座っても心の距離が縮まる。私がカウンター席が好きなのは、この場所の影響もある、絶対。
それぞれのユーミンの最強曲を語り合って、カラオケへ。友達の最強曲は「DESTINY」、私は「潮風にちぎれて」。どっちもサンダルネタだ。


My favorite songs vol,2

ユーミンは強がりな女心を繊細な表現で描いてくれるから、救われるよなあ。14番目の月もそうだけど、悲しいとか悔しい気持ちを頭の片隅に置きながらも「いいの、私はこれで」というスタンスの方が、うんと共感できませんか。同時に、聴いてる方は隠していた痛みが鉛でぶたれたみたいにジンジン響いてくるけど。

ずっと泣いてるより、ユーミンの歌詞にでてくるような、芯が通っていて泣かない女の方がかっこいい。トレンチコート着てバンダナ巻いて颯爽と歩いているいつぞやの年代のモデルのイメージ。ちなみに潮風にちぎれての歌詞はこんなの。

泳ぐにはまだはやい よせ来る波くるぶしまで
あなたの好きなこのサンダル なぜはいてきたんだろう
砂浜にうちよせた木ぎれひろい 沖へ投げた
あなたと歩いた年月をけちらしてみたかった

こんな歌詞を書ける人、他にいないよなあ。あとは私、いつか山手のドルフィンに行きたい!

いつの間にかカラオケがユーミンからスピッツメドレーみたいになってて、スピッツのさらばユニヴァースから、大宮サンセット歌ったら、なんだか物語のようにしっくりきた。さらばユニヴァースはお互い気がある状態の付き合う前、大宮サンセットは付き合ってすぐの歌詞だと思う。

4日目
夏休みボドゲ大会。

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恒例化しつつあるこのイベント、「あー、めっちゃくちゃたのしかった…。」という充実感が寝る前までぼんやり残る。元々会社の同僚たちと定期的に行ってたんだけど、最近は普段からクラブのイベントやライブで会う音楽友達を誘って行くようになりまして。音楽関係以外の場所で会う楽しさと嬉しさもすっごいある!毎回新しいボドゲに手を付けてはお気に入りのボドゲを増やしていくのも楽しい。まじレンタルして徹夜でボドゲやりてえ。

定番だけどゴキブリポーカーも楽しいし、おばけキャッチも盛り上がるなー。
初期遊戯王ってボドゲ大好き漫画だったイメージがある。ボドゲのイラストや造形の美しさも含めて楽しめるようになったので、遊戯の気持ちがわかる。もう一度読み返したいな。今気になってるボドゲは友達に教えてもらった「なんじゃもんじゃ」です。

5日目
「そろそろガタがくるなー」という予想通り、悪寒がしたので午前中は車の運転の練習をして、その後は就寝。遊びまくるのはいつも4日連続くらいが限界。近所のスーパー銭湯に行く。

6日目
広島カープVS阪神タイガース@京セラドーム。今年の観戦は7試合目くらいかな?本日は弟と。試合前にあべのキューズモールで行われている「広島カープまつり」にて、ガリバー岡崎に似顔絵を描いてもらおうと思ったのだが、本当にまつりだなんて銘打っていいものだろうかこの小さな催しを………

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小さなスペースに、グッズ販売もなく、販売しているのは速攻で売り切れた選手のサイン付き写真や本日の広島のスポーツ新聞など。知ってたけど、なんかさすがに…うおーい!!泣
完全に拍子抜け。とりあえず今年のMVP投票があったので、私は薮田に、弟は応援している九里に一票ずつ。
ちなみに、ガリバー岡崎の似顔絵は13時半に着いて「混んでるので17時半からになります」と言われたので、試合間に合わへんやんけ!と断念。うお~いつか似顔絵描いてほしい!次またチャンスがあればもっと早めに家出る!広島じゃないとなかなかカープなお祭りってないので、今後、もう少し大きい規模で何かあったら嬉しいなあ。

この日は京セラドームのレフトビジター上段で観戦。先月は京セラのレフトビジター中段?で見たが、上段はエアコンが効いててめっちゃ涼しい…。全然違うな~。

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結果は11-6で勝利。先発ノムスケの立ち上がりが悪くて少し心配だったけど、1回から大好きな丸が3ランホームランを打ってくれて嬉しかった。やっぱり野球観戦は楽しい。宮島さん歌いすぎて疲れた。
ただでさえ新井さんの打席になると観客席が沸くのに、7/7神宮での代打逆転3ラン以降は、「代打 新井」の歓声がさらにすごい。観客席の温度が3℃くらい上がる。まさに皆が待ってましたというヒーローっぷりで、これを体感できるだけでも試合観に来た甲斐があるなといつも思う。

それにしても、ほんと実際に観に行った試合では選手の細かい部分は見えないので、家に帰ってからTwitterなどで試合の状況見ると自分の知らないことがたくさんあってびっくりすることが多い。先月観た試合は阪神の西岡が一岡を威嚇…ということに帰宅後に驚いたり。なんだか一粒で二度おいしいという感じで、楽しい。

あと京セラはバッファローズポンタのグッズが買えるので嬉しい。ポンタ超かわいい!この日はマスキングテープを買った。キー太もかわいかったし、球団マスコットは正義だな~。

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7日目
銭湯友達と県内屈指の某スーパー銭湯へ。連休最終日ともあって、完全に守りの体勢に入った。いつか家を出ても、スーパー銭湯のある街で暮らしたい。岩盤浴超~~最高!

その後は別の地元の友達に迎えに来てもらい、そのままいつものコメダ珈琲へ。上原多香子似のダントツの超美人と、風呂上がりのすっぴんのオバハンという具合で、みじめにも程があったが、厨房で「あの組み合わせやばくね?」など俗な会話が発展されないであろうことを信じることができる、選りすぐりの地味なコメダ店員たちを愛するあまり、私たちはこの店から離れられない。(つまり本当に人の目とかどうでもよくなる神空間、完璧なソファーの硬さや高さ、若者というよりおばさんの井戸端会議に適している点など、何も背伸びする必要がないことを最高評価)

どうしてこんな加藤紗里みたいな友達のいっぱいいる子と私が仲良いのか周りから見たら謎でしかないだろうけれど、私はこの子ほど、真面目で他人に気を遣いすぎという側面に関して自分と考え方・ダメージの受け方が似ている人間を知らない。一緒にいると恐ろしく落ち着く。恋愛と仕事はほとんど同じ内容の悩みで、励まし合ってなんとか乗り越えたり、いまだにグダグダと言い続けたり。

この日は「気を遣いすぎて人間関係がしんどくなるときがある」という話で盛り上がり、私は自分の欲求を通すことを悪と思っていたことに最近気づいた。こちら側の要望を伝える前にだいたい他人の希望を通すので、「君の好きなようにしていいよ」と言われると、どうしてよいかわからず、一瞬たじろぐ。原因は姉として育ってきた環境にあるのだけれど、自分の欲求をちゃんと相手にぶつけられるようにしたい。だって、相手がなんも知らんうちに気を遣って1人で疲れているし。以前は、例えば一生懸命沈黙に気を遣って盛り立てて、自分がピエロになった結果「なんですかそれ」と言われたり、「その話題はないよ…」と言われ失敗すると、ほんと、私って一体なんなのかなあと思っていた。相手には何にも考えず言ってるように見えるんだろうなー、って。結果論と言われればおしまいだけど、もう少し器用にできればと思う。まあ最近はどうでもよくなって、沈黙になってもずっとほったらかしだけど。 やっと、相手はそれほど気にしてないということにも気づいたから。

ともすれば、私のそういう部分を全部見抜いて「本当はこっちがいいんでしょ?」と手を引っ張ってくれる稀有な才能を持つ人が現れることもあり、人生よくわからない。

コメダに行く途中、ふと友達が、車を運転しながら「あんたはなんでも自分でどうにかしようって思うじゃん。例えば男みつけて、生活や金銭面でそこに乗っかろうとする人なんかたくさんいるのに。」と言った。はは、そんな選択肢あるなんて思いもしなかった。そういえば、いろんな人に支えてもらいながら、この一年、ずっと一人で揺れながらも前向いて、戦ってたな。そのせいで、しんどいのに無理して「もうやめていいんだよ」と言われることももたくさんあったけど、それよりも歩を進めた分、自分の元気になって返ってくることの方が嬉しかったんだ。半年以上ずっと苦楽を共にした友達にそう言ってもらえて、胸が熱くなった。今は無理するのもアホらしいから、スローペースだけど。

ゆーーっくりしながら、地味~にエンジン入れてる私の戦いが終わるまで、あと少しな気がする。もうちょっと頑張りたいなー。夏休みの最終日に、なんかむちゃくちゃ元気出る言葉もらった。2017年が終わるまであと少し。今年やり残したこと、全部終わりにできたらな。よーし動くぞ。
今年の夏休みはとても楽しかった。来年はこうもいかない気がするから、思いっきりリフレッシュできてよかった。

やっぱ夏はいいなー。長くなりましたが。さて切り替えて頑張ります。

【7/29(土)】FUJI ROCK FESTIVAL2017 2日目

「こんな過酷なフェス、もう絶対行かねー!!」と思ってから、6年ぶりのフジロック。想像の何倍も楽しい時間だった。特に土曜なんか雨がきつくてゴアテックスでも若干染みてくる程だったけれど、そんな中の待ち時間ですら楽しかったし、特別良かったなあと思うアクトは、どれも友達の顔と一緒に浮かんでくる。道中から、思い出がたくさんできたフェスだった。この日会えたいつもの友達、初めての友達には感謝でいっぱいです。

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今年のフジロックには特別な想いがあった。

フジロックに行くことは去年からの私の目標だった。去年体調を崩して以来、タイコクラブに行くことも、広島のマツダスタジアムに行くことも、ハイキングに行くことも、楽しみであると同時にすべてが挑戦で、その一番先にあったのがフジロック。だから、去年「もうこんな体じゃ一生フジには行けないかも」と思ってわんわん悔し泣きした自分に、どうしても「行けたじゃん!」と言ってあげたかった。
でも、楽しすぎて、そんなこと帰路につくまで一度も考えなかったな。無事に飲みまくりーの踊りまくりーので意識せずとも目標達成、帰宅してから私は今抜け殻のようだ。ただ、心も体も尋常じゃないほど大きなバージョンアップが行われたことを痛感している。フジから帰ってきてから、悩み事が急に小さく見えたりする。この一年で私が得たものの大きさは、言葉にできないほど大きい。よっ、行けたじゃん!私!

自分を甘やかすことは、自分を大事にすることだ。何も悪いことじゃなかった。何するのも命懸けで、泣いてばっかりだったけど、一年かけて私はとても強くなって帰ってきた。人生に休息期間があるとすれば、私はこの一年がそうだったんだと思う。もう自分の体だけでいろんなことを背負うのはやめた。

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私は7/29(土)、7/30(日)の後二日間参加でした。
7/29は、まず平賀さち枝とホームカミングス。木道亭が混みすぎてて結局ほとんど観れなかった。来年から木道亭は要注意、メモメモ。AVARANCHESはちゃんと来てくれてよかったな~。友達と、雨の中一番踊れた。ビジュアルがまた最高、念願のSince I Left You、楽しすぎる!

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CORNERIUSは数曲聴いてから、入場規制必至のオザケンへ移動。新譜ももちろん良かったけど、Point Of View Pointを聴いて本当にコーネリアスなんだ~という気持ちに。NEW MUSIC MACHINEやってたら早めのオザケンへの移動にちょっと後悔してたかもしれないけど、やってなかったので安心した。


そしてオザケン。私はみんな程オザケンが好きな訳ではないし、特に世代でもないから青春時代の思い入れもないんだけれど、ホワイトがただならぬ熱気に溢れていてびっくりした。既に超満員、もう少し遅かったらホワイトに入れていなかったかも…。友達と一曲目の予想をしてたけど全部外れて、まさかの今夜はブギーバック!しかもスチャダラパー来てる!!昨日のスチャダラにオザケンが飛び入り参加することをみんな予想してたみたいだけど、逆だったとは。歌詞の映像が流れていたので、観客全員でカラオケ状態。楽しかったし、横で感動して泣いてる友達や、「新曲が9月に出ます」というMCを聞いて「ッッッシャー!!」と声を出しながらぎゅっと小さな体を縮めてガッツポーズをしている女の人を見て、みんな今にも溢れそうな想いを持ってオザケンを見ているのが感じられてドキドキした。その空気感は間違いなくフジ三日間の中でも特別なものだったし、この空間にいれたことはとても貴重だなと思う。あまりに歌声が美しくて、ライブを観る前よりも、オザケンのことが好きになった。


次のLCDは楽しみにしていたけれど、雨がめちゃくちゃ降ってきたので、仕方なく避難。うわ~いてればよかった~と思うようなセットリストだったけれど、ホワイトからグリーンへ家畜のように誘導されている自分たちをギャーギャー俯瞰して見ているのも楽しかったので、まあよしとしまして。見たいアーティストがちゃんと見れない、それも自然の力と残りの体力に左右されるフジロックの醍醐味だ。(と思うしかないよなあ)


この日のベストアクトは、Coccoだったかなあ。
びっくりするようなセットリスト!「本当に今2017年かよ!」と声を上げてしまうほど!新曲が少し入っているとはいえ、ほとんど16年前に出たベスト盤のようなセットリスト…攻めすぎだぞこっこ!!!

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1.けもの道
2.カウントダウン
3.強く儚い者たち
4.Raining
5.樹海の糸
6.絹ずれ ~島言葉~
7.音速パンチ
8.ジュゴンの見える丘
9.焼け野が原
10.Way Out
11.有終の美


けもの道から樹海の糸までの流れなんて、昔こっこを聴いていた人にとって震えるよう。しかも天気は雨。「この天気でRainning聴けたらやばいなあ」なんて思っていたら、本当にやってくれたからびっくりした。雨に打たれながらのRainning、これ以上のロケーション、なかなかないでしょ!
ヒット曲に関しては、ほとんどソラで歌える。中学、高校生のとき、カラオケでcocco歌いたくて、一生懸命覚えたことを思い出したり、coccoを聴きながら通った通学途中の道のりや当時のcoccoの曲のイメージ映像が頭に流れてきて、10年以上昔に引き戻されたみたい。一緒にフジに来た友達と一緒に、思わず歌ってしまった。
ついで程度に見たはずのcoccoがこの日一番印象的なアクトでした。でも一人だったらそこまでだったかな。だってcoccoの歌声がどうだったとか、そういう記憶はあんまりないから。友達と一緒に観れてとても嬉しかった。めちゃくちゃ笑った、あはは、coccoなのに!

 

続きの7/30はまた後日。

さくら/西加奈子

半分くらい読んでいたけど、それから半年間放置。最近になって続きを一気に読んだ。いろんな作家がいるのに、本って何を読めばいいのかよくわからない。いいなと思った作家の本を遡ってずーっと読み続けていて、西加奈子がその代表的な一人だ。自分の性格が出ているなと思う。
できるだけ重くなくて、最後に救いがある本じゃないと嫌だと思うようになってから、簡単にいろんな本に手が出せない。

 

さくら (小学館文庫)

さくら (小学館文庫)

 

一匹の犬と、家族の話だ。
雑種の愛犬サクラを全身でかわいがるように、長谷川家の人々は全身で人を愛する。それが「長谷川家のやり方だ」という言い方が、私はとても好きだった。あとは、「うちの家らしい」だとか。「〇〇家のやり方」って言葉は粋だなあ、これほど世の中に家族のコミュニティが存在していながら、家族の一人がそんな風に言える家はどれくらいあるだろう。カップルならまだあると思う、2人だから。けど、この漫画のような5人家族の中の3人の子どもが、両親の価値観の一部をとても心地の良いものとして受け入れ、毎回が最短距離ではない、くねくねと曲がった曲線のコミュニケーションの先に、気持ちの良い落としどころに持っていく安心感は、雲の晴れ間みたいに柔らかくてとてもまぶしい。

改めて、夫婦は奇跡だ。たった2人から、それを超える3人をつくることができるなんて。
そんな風に思うほど、長谷川家の子ども3人は、血の繋がりだけではなく、両親のやり方を引き継いで、好んで5人家族の当たり前にしていった。なんとなく、夫婦の下に三つ線が引かれた家系図が、とても意味ありげに頭に浮かんだ。こんなの、ただの記号だと思っていたのに。

我が家には「やり方」があるのだろうか。両親の夫婦仲は冷めきっているので、正直長谷川家のようなやり方はない。けれど、同じ芸人のコントみたいに、家族のパターンはある。

例えば、うちの父はとても優しい。それだけが取り柄とも言えるほどに。私は嫌な顔をされたことは何度もあっても、父に怒られたことは人生で一度もないかもしれない。弟はそんな父を見ているので、人気のない飲食店に対して「かわいそうだから」という理由で入ることができるような、不憫なものに弱い優しい心の持ち主だ。私は文句も悪口も言うが、情に訴えかけられると折れやすいという意味では完全にこちら側の人間である。

けれど、母は違う。
昔、家族旅行で大王岬に行った時、ヨボヨボのおばあさんがボロボロの露店で海苔や昆布を売っていた。「ヨボヨボのおばあさん+ボロボロの露店=めっちゃかわいそう」の図式が完全に出来上がっていたので、弟は「なんか買ってあげたい…」という表情をしていたが、それに目もくれず、母は「この昆布どこ産ですか?ここじゃないですよね?」というダイナマイトを投げていた。

おばあさんに「…韓国産やけど…。」と言わしめた姿は忘れない。結果的に母は老婆の見た目に騙されず昆布の産地を爆くことに成功したが、老婆の生活を想っていた私たちにとってその昆布はどこ産であろうが関係なかったので、血も涙もない女だなと思った。

つまり、うちの家族は母によってかなりバランスが保たれている。たまに、平和ボケした温厚なハブだらけの一家マングースがぶち込まれたような存在感を放つ時がある。一度、父が怪しい壺を売りつけられそうになっていた時に、母が家から商人を追い返したのを見て、母こそうちの大黒柱なのだと思った。たぶん母がうちで一番、リアリストなんだと思う。そこに情は不必要だ。こういう人間が、家族に一人はいないといけないのかもしれない。
これがうちの「いつものパターン」で、情に弱いという欠点を母以外が理解しているからこそ、母の信頼は家族の中でぶっちぎりである。「長谷川家のやり方」というほどではないけれど、「うちの家族らしいな」と思うのは、いつもこのパターンが見えた時だ。

なんとなく、そうやって家族のあたたかい部分を因数分解したくなるような気持ちにさせられる話だった。それぞれの家族の「やり方」が一つではないし、誰か欠けてしまったときに同じやり方を求め続けると歯車が狂ってしまうこともある。そういうときは別のやり方を探したらいいというというメッセージがきっと、長谷川家の父が病院を探すシーンに込められている。

サクラ、かわいかったなー。私はいつか、死ぬまでに絶対猫飼いたいけど、犬でもいいなあ。サクラの質感も毛の感じも、リアルに感じられるほど、サクラがでてくるとき、私はサクラを抱いているミキになった。

あなたはあなた/柴田聡子

「愛の休日」は、私的2017年アルバムベストオブザイヤーになること間違いなし。前のレビュー記事をあげたときの100倍ハマっている。そのときは、柴田聡子の人間たる魅力に迫っていたけれど、今は曲の魅力にどっぷり浸かっている感じ。「まさか、自分が、柴田聡子に、ここまでハマるなんて!!」と、言葉の間に一呼吸置きながら大きな大きな声で言いたいくらい!

愛の休日

愛の休日

 

 以前、柴田聡子の前のアルバムがでたときに、友人が「れんこんの穴にお箸を 詰めて 冷蔵庫にそっと置いておいて 見つけたきみは何も言わず お箸を抜いて支度を始める」って歌詞に対して、「やっぱりなんか怖いよ」と言っていたことを思い出して、そりゃそうだよなと笑ったことがあったけど、そんな遠巻きに見ていた人達も巻き込んで彼女のファンにさせてしまうのが、「愛の休日」なんだろうなと思う。だってこのアルバム、なんだか楽しい予定の当日に、静かに朝が始まっていくようなウキウキとワクワクがありませんか。淡々と始まるスプライト・フォー・ユーのイントロから心地よくて、通勤時に電車に揺られながら聴くと、眠たい体がゆっくりと車窓越しの朝の光に順応していくようだ。

 

そしてこのアルバムの中でも、特に名曲指数が抜群に高いのが「あなたはあなた」という曲ではないだろうか。柴田聡子にしか歌えない微妙なニュアンスがこの世には確実に存在していることを確信する一曲。

歌詞を人物像から紐解くと、こういう感じだと思う。

うわさに聞いたけど 銀行に勤めてるって 嫁さんもらわずに毎週出かけて行くって

あなたの休日はたまに贅沢をして 遠い外国にもひとりで行くって

おみやげなんにも買ってこないで いい匂いだけで帰ってくる

 いくつか「あなた」を描写している部分を抜粋したけれど、よっぽど一人が好きな男のようだ。恋人がいなくても、何でも一人で楽しめるタイプの、その中でも相当変わっている男性なのが見て取れる。なぜなら、「なにかが欠けている なにかがありすぎる 人のきもちとして間違っている」という部分は、私はお互いのことを指していると解釈しているので。

そんな彼を「わたし」は具体的にどう好きかと思っているかというと、異国の香りを引き連れて帰ってきた彼に対するこのキラーフレーズ。

お母さんも知らないような香り

一人で外国へも行っちゃうような自由人としての「彼への憧れ」を、「おかあさんも知らないような香り」というたった一言で表現しちゃうんだから、柴田聡子ワールドの恐ろしさたるや。みんな幼い頃、母親が知らないことなんてこの世にないと思ってたもんな。しかもこの「おかあさん」というワードが、二人が幼馴染であった関係や「わたし」の子供っぽさをなんとなく彷彿させている気にもなる。もう、柴田聡子は短歌でも書いた方がいいんじゃないか…。第二の俵万智になれるよ、きっと。

そんでもって、この部分の葛藤がかわいくて。

放っておいてとも思わないの わかってくれとも思わないよ

つまり、自由で一人でどこへにも行ける彼に憧れているけれど、彼は一人が好きなので他人といることに興味を持ってもらえない、でも好き、そういう風に聞こえてならない。
「あなたの生き方に水を差したりしませんよ、でも少しはかまってほしいな」という本音が見える気がする。

というわけで、結論が遅くなったが、「あなたはあなた」の切なさの真髄は、自分が彼を好きな理由が、自分に興味を持ってもらえない理由でもあることだ。
と、私には思えて、この曲を聴くとマンガ一冊読んだ後のような充実感を得られる。1曲4分前後の少ない情報で想像力が掻き立てられる曲を私はよく「マンガみたいな曲だ!!」と喜んで言うけれど、まさにそんな一曲だと思う。

そして、この曲において大事すぎる、最後のサビに向かうこの部分。

好かれても嫌われても人と人とのことだもの
いつか赤い屋根の温泉行きたいの

これは省略された部分を正しく書くと、こうだろうか。

好かれても嫌われても人と人とのことだから仕方ないわ
でも本当は、いつか一緒に赤い屋根の温泉行きたいの

「いつか赤い屋根の温泉行きたいの」でパーッと前が開けていく明るい景色が見えて、胸がキューーッとなる。もし彼女がアイドルだったとして、私が「聡子ーーー!!!!」と叫ぶならここ。聡子ーーーーーーーーーーーーーー!!!!

だってここで初めて、相手を大事に思うあまり、ずっと遠慮がちだったわたしから、初めて「~したい」なんていう、本音がでてきたのだから。
ここからの繰り返しのサビは、スプライトのしゅわしゅわの泡のようにはじけて、きらきら明るい幸せな気持ちでいっぱいになる。キーが上がる訳でもないのに、このクライマックス感、一体どうしたものか。

ちょっと変わった人だけど「あなたはあなた」。そんな変な人が好きな変わった私も「わたしはわたし」。この言葉は片方だけではきっと成り立たなくて、この相互作用の奥にはきっと彼女の恋心への誇らしい肯定がある。
ああ、恋だなあ。
柴田聡子の純粋な声でこんな歌を歌うのはずるすぎる!応援せずにはいられない。
好きな人の大切な趣味や価値観を、何も口出ししないという姿勢で黙って大切にするところも、私はすごくかわいいと思う。普通は西野カナのトリセツみたいに、あーやこーや言っちゃうけど、水を差さない愛ってそりゃもう、忍耐力がいるはずだから。だって、相手には伝わらないもん。でも、見守る愛だってあるのだ、何も与えるだけが愛ではない。

「高いレールの上を走る 黄色い二人乗り自転車」なんていうのは、こういうやつかな。

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既にあった出来事なのかは定かではないけれど、
きっと行けたらいいね、遊園地。赤い屋根の温泉じゃなくても。