赤ちゃんがやってきた
我が家に赤ちゃんがやってきた。ようこそ地球へ!
コロナ禍での出産が不安で、妊娠のことはほとんど人にも言わずにXデーを迎えた。結局、妊娠中期にコロナに罹患して散々な目に遭ったけど、赤ちゃんは無事でホッとした。
出産からは1ヶ月が経ち、もう別人のようにむくみが取れて、ふくふくでフカフカのお顔立ち。顔を近づけると、ミルクのほのかな香りがする。
毎日可愛くって仕方がない。
布団を敷いて隣同士で寝ているけれど、夜中寝ぼけて「フニャーーーー!!」とか「んぐう〜!!!」と言いながら天井に向かって手を突き上げているのを見ると、小さな体で一生懸命何かに抵抗しているようでとってもかわいい。
そのせいで、寝る前に「寒いでしょ」と丁寧に布団の中にしまわれた手は、気がつくと外に出て、こんな風にちょこんと布団に添えられている。
クマのぬいぐるみみたいだ。
朝起きるたび、ベビー布団からちんまり頭を出した赤ちゃんの嘘みたいなサイズ感にびっくりする。
お人形さんみたいにちっちゃくて、お世話してあげないと何にもできない、かよわい赤ちゃん。
今すぐ抱きしめたくて、赤ちゃんの上で四つん這いになって「かわいい!だいすき!」と、ギューっとするフリをしてからおむつを替える。そんな1日の始まりが、なんと幸せなことか。
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出産予定がクリスマス前後だったので、クリスマスにちなんで名前をつけた。
胎教なんかさっぱりしなかったけど、出産前に坂本龍一の配信ライブのチケットを買って一緒に聴いた。
私の中でこの曲はこの子のテーマソング。私がもし死んでしまっても、この曲がこの子のそばにいてくれると思う。大きくなって映画を見ても、たけしの笑顔で上書きされませんように。
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連写で同じような写真がたくさん撮れても、どれも大切で1枚も消すことができない。
だって赤ちゃんが生まれてから、今が過去になっていくスピード感は、人生最速だ。速いなんてもんじゃない、一瞬!
文字通り、もう昨日の我が子には会えない。それくらい毎日成長が著しく、顔立ちも違えば、できることも違う。
ガチャガチャ音を鳴らしていても起きなかったのに、最近は音に反応して泣くようになった。
人の気配にも気付くようになり、今日は眠っている間に赤ちゃんの香りを嗅いでいたら、途中で気付かれて起こしてしまったり…。
体が細胞分裂をやめて久しい私は、この子の光のようなスピードに常に置いてけぼりになりそうだ!
そんな風に成長の喜びと寂しさを感じる日々。
今は赤ちゃんのお世話以外に日常はほぼないけれど、寝不足でなければ毎日幸せ!(そう、新生児期のような寝不足でなければ!!!)
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生まれてからはこの曲をよく聴いてる。いつか出産することがあれば、産後に必ず聴きたいと思っていた。
みずみずしくてジューシーで、水分含有量120%って感じの音。
なんだか赤ちゃんみたい。
ゆらゆら揺れながら赤ちゃんと一緒に聴くと幸せで涙が出てくるんだなあ。
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赤ちゃんが寝てる間に、Netflixでたくさんドラマを見る予定だったのに、テレビ見る時間すらもったいない。ころころ表情の変わる赤ちゃんは、テレビよりも数百倍面白い。
あと、テレビを見てる間に成長を見逃してしまうのがとてつもなく怖い。最近はスマホを触っている時間も怖いくらいだ。
ただただ小さい手がひらひら動くのを見ていたい。生まれたての時は、「キューキュー」とイルカのような声を出していたけど、今は喉の扉を3つくらい開けたような野太い声が聞こえる時がある。
成長はもっとゆっくりでいいよ、今の君ともっと一緒にいたいよ。
赤ちゃんはみんな、すべからく幸せであるべき生き物だと、身をもって知る。
私は何があったって君の味方だから、どうか幸せになってね。私の世界一で、宝物。