結婚式

いろんな人からの連絡に返事もせず、眠りたくなくて、本棚をぼーっと眺めている。こんな気持ちの時に読むべき本や漫画や音楽が私の部屋にはたくさんあるはずなのに、すぐに思い当たらない。いつも私は自分の身に覚えのある感情との重なりを求めて漫画を集めるから、自分の経験したことのない気持ちに合うものは、部屋の本棚にはあまりないのだろう。

私は自分に自信がなくて卑屈で、それでずっとたくさんの人に迷惑をかけたり、歩みを進められないことがたくさんあった。自信が持てるようになってきたのは、最近。どん底まで落ちてから這い上がるために、自分の考え方のほとんどを「私はこれでいいや」と思えるようになったからだ。私はもう、こんな風に思えるようになったならこれでいい、人生万々歳だと思っていたのだけれど。

心から大事な友達の結婚式があった。 

自分が思っているよりも、自分のことを大切に想ってくれている友達がいるのだと知った。

自分の自信のなさは、もしかすると対人関係に一番影響があって、「私は所詮この程度の関係だろうから」といろんな人に常に思い続けていたのだと、この三連休でハッとした。

人から大切に想われること、それは自分の力ではどうにもできないことで、きっとこの結婚式がなかったらこんなに大切にされていることに気付かなかった。

二次会の幹事をしていたので、二次会BGMの編集をしている友達に思い出の曲をいくつかセレクトして送っていたけど、初めてライブハウスで出会った時のバンドの曲は送らなかった。私もずっと聴いてなかったし、友達も曲を覚えてないだろうなと思ったから。

でも披露宴でそのバンドの曲が何曲か使われていて、それが本当に嬉しかった。きっと覚えてなんかないよなんて思っていた自分が恥ずかしかった。

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一緒にスーパーカーコピーバンドやってたときのWHITE SURF style 5.が流れたとき、コピーしたことも完全に忘れていたので不意打ちでめちゃくちゃに涙が出た。

私はとても記憶力が良い方だと思っていたのに、私よりも私との思い出を覚えてくれていたことがとてもとても嬉しかった。披露宴のBGMが涙の引き金になったのは初めてのことだった。OCEANLANEも、スーパーカーも、私が出席していなければ、きっとかからなかったと思ったから。 

私は前述の自信のなさのせいで、親友という言葉を使う自信がない。特に女友達においては。これはお互いの同意の上で初めて成り立つ言葉で、自分がどんなに想っていても相手が想っていないとどうにもならないからだ。私は両思いへの絶対的な自信がなかった。

さらに友達をランク付けしているようにも聞こえるから、自分から使ったことは人生でほとんどない。図々しい言葉だなとすら、思っていた。

でも今なら使えるなと、世界で誰より可愛い花嫁姿の友達を見て思った。結婚式はとても良い席を用意してくれた。大変だったけど、振袖着て行ってよかった。二次会の幹事も任せてくれて嬉しかった。

式が終わってから、ドレスを脱いで、疲れて少し不安そうな顔で私の名前を呼んでくれたとき、二次会準備で急いでいてなんもしてあげられなかったけど、その瞬間、可愛くて可愛くて仕方なかった。きっとこの子のこんな心許ない声を聞ける人間は、この世にそんなにいないと思ったから。

自分なんて、と思うのをさっぱりやめたつもりだったけど、今度こそもう終わりにできる気がする。自分が思っているよりも、私がいろんな人の人生の中で生きていること、それをとても大切にしてくれる友達がたくさんいることに気付くことのできた、とても幸せな三連休だった。

結婚、本当におめでとう。私は幸せ者だと思う。私が私でいるための大切な記憶がまた一つ、増えた。